Salt-n-sugar

アラフィフのつれづれ

閉鎖病棟~狂える日本人

面白かった。精神病院での入院生活を、何人もの患者の視点を介して描いていく。診る側診られる側、お互いの相手に対する捉え方がわかるので、だんだん、彼らは別にすべてにおいておかしいわけじゃない、少し箍ははずれてるかもしれないけれど、頭の中は案外クリアーで、何より心に正直に生きている人たちなんだとわかる。病院をとりまく人たちの態度はほとんど冷たいのだけど、そんななか、婦長さんの患者に対する態度にとても好感をもてた。受賞作というアオリに負けてない読み応え。話がいくつものパートに分かれてるけど、ラストにしっかり結実してくる。そんな構成も◎。

閉鎖病棟 (新潮文庫)

閉鎖病棟 (新潮文庫)


もう一冊は、アシモフの「夜来る」
有名な古典ということで読んだ、初アシモフ。長編読了後、草案ともなった短編も読んだけど、どっちも展開が想像できるわりに、なかなか進まずまわりくどい印象。昔は画期的な設定だったんだろうけど、今はな、という感じ。

夜来たる 長編版 (創元SF文庫)

夜来たる 長編版 (創元SF文庫)